ワニは水辺を住処とし、水中で狩りをしたり、陸上で日向ぼっこをしたりして過ごしています。
多くのワニは泳ぎが得意で、素早く水中を移動することができます。
そのとき、ワニはどのように呼吸をしているのでしょうか?
また、海を泳ぐワニについても紹介します。
ワニは肺呼吸
ワニを含めた爬虫類は、両生類から進化しました。
カエルやイモリなどの両生類も肺呼吸をするのですが、幼体はエラ呼吸をします。
一方、爬虫類は進化の過程で幼体から肺呼吸ができるようになったのです。
よって、ワニも肺呼吸をしています。
泳ぐときは手足を体に密着させた状態で大きな尻尾を左右に振り、体を波立たせるようにして水中移動します。
水面から鼻を出して鼻呼吸
ワニが水中に潜んで獲物を待っているときなどは、体のほとんどを水面下に沈めますが、鼻先は水面上に出して鼻呼吸をしています。
このとき、口の中が水で満たされていてもふたつの咽喉弁が閉じ気管や食道に水が入るのを防いでいます。
内鼻腔がその弁の背後に空気を送るため、水中でも難なく鼻呼吸ができます。
獲物を捕らえ水中に引きずり込むときも、この働きが役立っています。
海を泳ぐイリエワニ
イリエワニの英名は「ソルトウォータークロコダイル」と呼ばれます。
その名の通り、イリエワニは海水域を泳いで移動することができます。
イリエワニという和名は、生息地である汽水域(入江、干潟、湾、三角州など)に由来しています。
イリエワニはその遊泳能力の高さから、インドからベトナムにかけてのアジア周辺、ニューギニア島、オーストラリア北部にまで生息域を広げてきました。
日本では伊豆諸島の八丈島、奄美大島、西表島での発見例がありますが、生きたイリエワニではなかったとのことです。
循環器に特徴
高い遊泳能力の理由は、特徴的な循環器の働きにあります。
一般的な爬虫類の心臓は2心房1心室ですが、ワニの心臓は哺乳類や鳥類と同じく2心房2心室なのです。
また左右がパニッツァ小孔で結ばれています。
潜水時には肺呼吸ができなくなるため、肺への血液循環を閉じ血液は全身に戻ります。
このように効率的に酸素を供給しています。
どれくらいの時間潜水できるかは個体によりますが、1時間程は可能であるといわれています。
まとめ
ワニが泳ぐ姿はまさにハンターのようですね。
尻尾の力で水中から垂直に飛び上がることがありますが、とてもダイナミックで圧倒されます。
ワニは我々哺乳類とほぼ同じ心臓の構造をしていますが、潜水時には特徴的な働きをすることも驚きですね。