ワニは鋭い歯と強力な顎の力で獲物を捕らえたり、オス同士の縄張り争いをしたりします。
ワニの噛む力は地球上の生き物の中では最強といわれていますので、噛まれてしまえばひとたまりもありません。
ワニ同士で争えば、四肢を失うこともあるようです。
そんな重傷を負った状態で、ワニが好む河川の水辺にいればあらゆる細菌や病原体が体内に侵入し、感染症になってしまいそうですね。
ところが、そうはならないところにワニの強さの秘密があります。
ワニの免疫力
ワニには人間とは比べ物にならないほどの強い免疫力があります。
雑菌やウィルスによって感染症になることはほとんどなく、怪我をしても早く治癒します。
ワニ同士の激しい争いによる重傷であっても例外ではありません。
人間であれば、感染症を引き起こす菌などに接触したら免疫を作るという機能を持っていますが、ワニの場合は接触をしなくても外敵から身を守る強い免疫力を持っているとされています。
病気の治療に役立つ?
オーストラリアの研究者による研究では、ワニの血液中の抗体を調査したところ、ペニシリン(一般的な抗生物質)が効かない黄色ブドウ球菌などを殺菌する働きがあることがわかっています。
黄色ブドウ球菌とは、健康な人の20~30パーセントが保菌しているといわれており、食中毒の原因でもあります。
また、エイズの原因であるHIVウィルスを破壊する作用があるとの研究結果も報告されています。
試験管上の成果ではありますが、将来的には治療に役立てることができるかもしれません。
ワニの血液中から抽出した白血球やたんぱく質などは、そのまま人間に使うには強すぎるため、さらなる研究を重ね新薬の開発に取り組んでいる段階です。
まとめ
ワニは見た目にも強そうで、攻撃的で危険な生き物というイメージがありますが、鳴き声でコミュニケーションをとる社会性を持ち、爬虫類の中では珍しく子育てが発達しています。
ワニ革を求めて乱獲されてきた歴史を背景に、絶滅危惧種とされている種類もあります。
ワニといえば恐い、ワニ革…といった事柄だけでなく、多様な側面があることを知ることで、地球上の動植物の多様性を理解し、大切にする意味を考えてみましょう。